元親ならできまい。利口者はえてして気がはやいものだ。おれは英雄ではないから、この工事ができる 「山内一豊 功名が辻 司馬遼太郎著」
高知城を築城する際の一幕です。
「元親ならできまい。利口者はえてして気がはやいものだ。おれは英雄ではないから、この工事ができる」
なるほど伊右衛門(山内一豊)には、才気がないかわりにねばりがあった。と続きます。
長宗我部元親ほどの人でも、この地への築城をあきらめたほどのところに、山内一豊が城を築くときの一言です。
ここまで書いていて思ったのは、信長、秀吉、家康はこの才気があってねばりがあるという2つを持っていたから、他の大名より頭一つ飛び出たのでしょうね。
作中でも、妻の千代が、「ほんとうにえらいひとというのは、こういうひとのことをいうのではないかしら」とあらためて山内一豊を見直しています。
作中ではこうしめくくられます。(抜粋)
「利口者なら地相をみただけで、ちゃんと目スジが通ってこれはだめだという。ところが伊右衛門(山内一豊)はそういうことがわからないから、ひとに「なんとかならないか」とききまわって案を一つずつこしらえては一つずつ実現してゆくのである。大げさにいえば馬鹿の一得というものであろう。」
ほめているのだと思います。
あらためて、歴史はおもしろいですね。